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和楽器豆知識

楽器


箏(桜井智永)

桐の木でつくられ、13本の絃がその上に平行に張られる。箏の木目は、柾目(まさめ)と板目(いため)の2種。板目のひとつが玉目(たまめ)で、玉のような美しい木目があるものをいう。 箏の胴は、横断面がかまぼこ型の木を舟のようにくりぬいた上板(甲又は甲羅)と、それに張られる同じ桐材の裏板の二部分よりできている。中は完全な中空ではなく、関板及びハリ板にを合計6本入れて共鳴をよくするよう工夫されている。甲の内部は彫られ、等級に応じて、簾目、綾杉、子持ち綾杉等の模様が施される。 装飾部分は四分六、龍角、柏葉、龍舌などで、象嵌、蒔絵、寄木等の伝統的装飾技法による。 絃には1個の柱(じ)がはめられる。材質は紅木・象牙などから、現在はプラスティックへ。絃はもともと絹でつくられていたが、現在は化学繊維のものが多く使われている。 箏爪を指にはめて絃をはじく。爪の部分は、昔の竹・角・象牙などから、象牙や合成樹脂製へ。

歴史

筝の伝来〜筑紫流筝曲成立
中国の筝は秦の時代に“蒙恬(もうてん)”(?〜B.C240)が初めてつくったと記され、“秦筝と呼んでいる。日本へは唐製の13絃が、奈良時代に中国より伝来した。 平安時代には“雅楽”の合奏用の楽器のひとつとして用いられていたが、筝の独奏曲や筝伴奏の歌曲も存在していたことが、その頃の文学作品にうかがい知れる。 鎌倉時代の寺院芸能“延年”に雅楽の「越天楽」の旋律に歌詞をあてはめた“越天楽歌物”・“越天楽謡物”があり、筝伴奏の歌曲の存在が推量される。 これらの筝音楽が、平家滅亡のため九州へ逃れた貴族階級や平家一族によって北九州で伝承されたのではないかと言われている。 九州久留米にある「善導寺」の僧“賢順”(1547〜1623)が、寺院芸能・雅楽・中国の琴楽や九州に伝来された筝の音楽を学び、“筑紫流筝曲”を創立した。これが後に“八橋検校”に伝えられ“俗筝”(近世筝曲)となる。

江戸時代
江戸時代になり“八橋検校”(1614〜1685)が“俗筝”の基を開いた。以降、筝曲は盲人の専業となり、一方、八橋検校の弟子たちが庶民の間に俗筝の普及を進め、今日の“生田流”、“山田流”筝曲の直接の祖先となった。 八橋検校の弟子“北島検校”に組歌・段物を伝えられた門弟“生田検校”(1655〜1715)は元禄8年(1695)に“生田流”をおこしたと言われている。芸術音楽となった“三味線音楽”(地歌)に筝を合奏させ、三味線に対応できるように、筝の手法の拡張、調絃の工夫、爪の改革、座り方の変化がもたらされた。(スクイ爪、角爪、左斜め座り)
山田検校(1757〜1817)が江戸でおこした筝曲を“山田流筝曲”と呼んでいる。江戸浄瑠璃をとり入れて語りものの色彩の濃い筝伴奏の歌曲を作曲し、当時の江戸の人々に受けいれられた。 生田流筝曲が三味線音楽“地歌”を基盤として高度の器楽的発展をしたのに対して、山田流は筝を伴奏とする歌本位の筝曲として発展した。筝曲は関西の生田流、関東の山田流の2派に分かれて明治時代となる。

明治以降〜
明治維新の影響は当道組織に保護されていた盲人音楽家にも及び、経済的な急迫のため筝曲が一般に公開演奏・教授されるようになった。

大正の末に“宮城道雄”による“新日本音楽”が生まれ、日本の伝統の中に洋楽を融合しようとする試みがなされ、現代邦楽への新しい道が開拓された。

音階・楽譜

調子
平調子、雲井、中空、楽調子、乃木調子など

奏法

座り方(生田流、山田流)

右手
スクイ爪、裏連、流爪、輪連、合せ爪、散爪、割爪、裏ずり(すり爪)、平爪(掻手)、トレモロ、アルペジオ、ピチカート

左手
押手(半音・一音)、押放、突色、引色、揺色、消爪、スタカート、ハーモニクス、ミュート

楽器づくり

広島県福山市周辺は「福山琴」として知られ全国生産の約70%を占めている。 原木は内地産の桐材及び北米産の桐材が使われ、末口径60〜70cm以上のものが使われる。複雑な木目が現われやすいように、曲がりのない桐丸太材よりもやや湾曲している丸太材が最良。
箏作りは「乾燥から始まり、乾燥に終わる」とまで言わる。製材された桐材は、屋外で2年〜3年間「野ざらし」という天然乾燥が行われる。箏技術者は「木を枯らす」と呼び、桐材に含まれる「アク(灰汁)」を除き、安定した工芸材料が得られる。

甲を造る工程は、

刳(えぐ)り
板付け
彫り
焼き
磨き

「焼き」は鏝(こて)で表面を焼く。炎が立ち上がり黒く帯状に焼かれていき、筝独特の色彩を作り出す。「磨き」は甲表面に焼き作業で生じた、炭化物を取り除き、筝独特の光沢や輝きを持たせる。イボタの花を表面に塗布し、ウズクリなどで磨くことで木目が浮き立ち、独特の光沢を放つ。


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