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雅楽・笙

和楽器豆知識

雅楽・笙(しょう)

雅楽

雅楽は上代から伝わる日本固有の音楽と、千四百年程前に中国や朝鮮半島などから伝来した古代アジアの音楽がミックスされ、平安中期に完成されたもの。楽器もまた、古代中国や朝鮮半島などの国々で発展し、飛鳥時代に日本に渡ってきた。雅楽も雅楽器も日本人の心に合うように整理され形を変えて定着し、その後、千年以上の時を経ても形も音もほとんど変わることなく現在まで伝わっている。
雅楽は次の3種類の総称を言う。 外来音楽が基調となった唐楽(とうがく)、高麗楽(こまがく)に分類された「管絃(かんげん)」と「舞楽(ぶがく)」。
日本古来から歌い継がれてきた「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」
10〜11世紀頃に日本の宮廷貴族によって始まった「朗詠(ろうえい)」「催馬楽(さいばら)」という「歌物(うたいもの)」
「管絃」は、楽器だけで演奏するもので、「三管、二絃、三鼓」で編成され、基本的に総勢16人。
三管:笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)
二絃:琵琶(びわ)、筝(こと)
三鼓:鞨鼓(かっこ)、太鼓(たいこ)、鉦鼓(しょうこ)
管絃の演奏では、主に管楽器が主導権を握り、その中でも篳篥が主旋律を担当する。龍笛は篳篥のメロディにまとわりつくような副旋律と、時には主旋律も担当し、この二つの楽器が音楽の主体となる部分を作る。笙は、ほとんどの場合、六音または五音からなる和音のような音の塊り(「合竹(あいたけ)」と呼ばれる)を鳴らし、その中心となる音(基音)が篳篥や龍笛のメロディの音と一致するように演奏される。
古代の人は、笙、篳篥、龍笛を、それぞれ「天・地・空」を表現する楽器とした。笙の和音は洋楽的には不協和音だが、笙という楽器を通じて生み出されると美しい響きとなる。まさにその音色は「天から差しこむ光」を感じさせる。篳篥は、「地」、地上の声、人間の声を表現していたと考えられ、龍笛は、天と地の間を泳ぐ「龍の鳴き声」を表したものだと言われている。

楽器



笙(石川 高)
笙、17本の竹を円く束ねた形は鳳凰が翼をたたんで休んでいる姿に似ていることから「鳳笙(ほうしょう)」とも呼ばれる。
笙の吹口笙は、「鳳笙(ほうしょう)」とも呼ばれる。これはその形が鳳凰が翼をたたんで休んでいる姿に似ていることに由来する。十七本の竹を円く束ねたような形で成り、そのうちの十五本の竹の根元に「さはり」(佐波里、響銅などと書く)という金属でできた薄い簧(した、リード)がついている。息を吹いたり吸ったりすることで、そのリードが振動して音となる。
笙の素材である竹は煤竹(すすだけ)が最も良いとされる。古民家の茅葺き屋根の骨組みに使われていた竹の廃材は、囲炉裏の煙でいぶされ、頑丈でねじれず、虫もつかない。
金属のリードは息がかかると結露しやすく、長く吹いていると水滴の重みでリードの振動が変わり、音程が悪くなったり、音が出なくなったりする。そのため、演奏の合間に傍らに置いた火鉢や電熱器で楽器をくるくる廻しながら温めて水蒸気を逃す。

竿
竿(う)は笙と同じ構造だが、竹管の長さが倍で1オクターブ低い音が出る。この楽器も中国から伝えられたが、早くに伝承が絶えてしまった。奈良東大寺・正倉院の御物のなかにこの楽器が残されている。

奏法

笙の特徴は、一管一音を発すること、吸っても吐いても同じ音が出ることから、息継ぎせずにどこまでも長く音をのばすことができる。笙の音域は1オクターブ半くらい。
笙は六音または五音から成る「合竹(あいたけ)」とよばれる一種の和音を奏でる。合竹には、すべての合竹に共通する音が必ず二音含まれている。笙管の各音の配列は、一見アトランダムであるが合竹の演奏に適した配列になっている。合竹はそれぞれ、一種の「根音(こんおん)」をもっていて、その「根音」となる管の名称がそのまま合竹そのものの名前にもなっている。
笙の代表的奏法には「手移り」と「気替え」があり、この両方のコンビネーションによって笙の演奏の独特の雰囲気がかもしだされる。「手移り」は、一つの合竹から次の合竹へ移る時に、ストレートに移行(「オッパ吹き」と言われ、はしたない奏法とされる)しない方法で、「気替え」は合竹ごとに行なわれる呼・吸の交替のこと。
笙の記譜法は、各管の名もしくは合竹の名がそのまま音符として記されている。
お稽古では声を出して覚える「唱歌(しょうが)」が用いられる。笙の場合、実際の演奏の大半は合竹を吹いており、旋律はほとんど吹かないが、唱歌では篳篥の受け持つ主旋律を多少簡略化したものを歌い、これにそのとき吹いている合竹の名を歌詞のようにつける。

雅楽から出た日常語

あんばい(塩梅)
篳篥の奏法に使われる言葉で吹き方を加減すること。雅楽での読みは「えんばい」。

打ち合せ
微妙な演奏法の違いを調整するため、まず打楽器から約束事を決めたことによる。

千秋楽
後三条天皇か、近衛天皇の大嘗会に作られた曲。舞楽法会などの最後に必ず演奏された。

二の句がつげない
「朗詠」から出た言葉。朗詠では漢詩で歌われ、一の句、二の句、三の句の三部分に分かれている。音の低い「一の句」から一転、急に高い音域の「二の句」に変わるので音がとりにくい。

二の舞をふむ
舞楽曲「二舞(にのまい)」から出た言葉。「二舞」は通常「安摩(あま)」に引き続き舞われる。舞いぶりは、安摩の舞を舞台の下で見ているが、やがて、安摩が舞台を降り、二舞が上がり安摩をまねて舞おうとするが、似ても似つかぬものになってしまう。

やたら
雅楽には八多羅(やたら)拍子という二拍子と三拍子の混合拍子の曲がある。農耕民族である日本人は騎馬民族と違い三拍子が苦手で混合拍子となると演奏がばらばらになってしまうことから言われた。

やぼ(野暮)
笙の十七本の竹には金属の簧(した、リード)が付いていて、出る音にも名前が付いていた。ところがやがて、日本的でない二つの音が使われなくなり、竹から簧もはずされてしまった。その二つの音は、「也(や)」と「毛(もう)」で、その「や、もう」が少しづつ変化して「やぼ」となった。

ろれつが回らない
雅楽の旋法には「呂(ろ)」と「律(りつ)」があり、それぞれの音階に基づいて演奏される。その「呂」「律」を間違えると訳のわからない曲になってしまうことからできた。


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